正月用餅の賃搗き屋が年末には戸毎に巡回してくる。夜中に威勢よく搗いた餅を鏡餅と小餅にして、済んで帰る時には礼儀正しく御祝儀の札を大きな声で申し述べて次の家へ移動して行く。
元旦は各戸に日の丸の旗を立て門松・しめ縄を取り付け、貴受受けを設置する。
羽子板で羽根つきの音は正月の静けさを破ってすがすがしい。
天満宮に初詣した後は大阪の盛り場ヘ行く連中で大軌電車は満員である。
夜ほしんしんとして人影もなく何処からか百人一首の読みあげる声がのどかに聞こえてくる。
満天の星は宝石をちりばめたるが如くあざやかで天の川が南から北へ流れている。
凍てついた道路に芝居帰りの人の下駄の音がカラカラと鳴り響いてくる。
一月十五日の夜は天満宮の神前でしめ縄を持ち寄って『トンド」を例年どおり施行される。暗闇の境内に集まる人々が正月を送る最後の行事とし寒空に良き年であることを祈っている。寒行の団扇太鼓の僧列が厳しい修業のため寒風をついて足早に近くから遠くへ去って行く。 |
|
|